栄養指導

栄養指導

2023年5月より、当クリニックでは’栄養指導外来’を始めました。

 栄養指導と聞くと、皆様何をご想像されますか?
『元々、内科的に疾患がありその病気によって食事制限のある患者様や食生活に不安のある方を対象にその病態に応じた食事相談や食事療法を提案するもの』と考える方が大半だと思います。その通り、病気を抱える人から健康な方人まで、食事と栄養に関する課題を抱えている方々に対して、一人ひとりの状況を把握して的確なアドバイスを行うのが栄養指導であります。つまり、疾患や病態を改善させるといった治療としての役割が知られています。しかし、近年、栄養指導は、(とくにアスリートやスポーツ選手などの)身体づくりや競技力向上のための手段として注目されてきています。さらには、病気になるのを未然に防ぐといった予防という概念においても栄養指導は重要な役割を担っています。
 そこで、当クリニックでは栄養指導が持つ様々な魅力に注目して、アスリートや(プロ)スポーツ選手だけでなく、成長期にあるジュニアアスリートや学生スポーツ選手さらにはスポーツ愛好家などの幅広い年齢層の方々と骨粗鬆症で治療されている方、もしくは治療はしていないが骨粗鬆症予備群として称される方々を対象として栄養指導を開始しました。また、栄養士は健康な人を対象とする栄養指導しかできないため、疾病者や療養が必要な人にも栄養指導が可能で、スポーツにおいて各競技の特性に詳しくスポーツの現場でも栄養指導の実績があり、さらには骨粗鬆症にも精通されている管理栄養士とコラボレーションすることが実現化して管理栄養指導外来を開設しました。
 一般的に、基本の栄養素は炭水化物、脂質、たんぱく質の三大栄養素にビタミン、ミネラル(無機物)を加えたもので、五大栄養素と呼ばれており、どれか一つが欠けると私たちは健康を保つことが難しくなります。

栄養指導

 私たちは普段から生きるために欠かせない栄養素を食品から摂り入れていますが、それぞれの食品には様々な栄養素が含まれていて、食品ごとに含まれる栄養素の割合は異なります。またこの五大栄養素には体内で大きく分けて3つの働きがあります。まず、第一にエネルギー源となる働きです。エネルギーは、私たちの生活のあらゆる場面で必要です。寝ている時も使っており、摂取するエネルギーや栄養素が少ないと、身体の機能が低下して疲れやすくなり、さらには病気になりやすくなります。エネルギー源になる食べ物に多く含まれる栄養素は、主に炭水化物、脂質、たんぱく質です。炭水化物は糖質と食物繊維に分類されますが、エネルギーになるのは主に糖質です。糖質は、1gあたり4kcalのエネルギーをつくり出し、脳をはじめとして様々な組織のエネルギー源となります。脂質は炭水化物の2倍以上のエネルギーをつくり出すことができます。摂りすぎを心配する方も多いですが、効率的なエネルギー供給源として、重要な役割を担っています。たんぱく質は、糖質や脂質が十分でないときにエネルギーのもとになります。炭水化物、脂質、たんぱく質は、エネルギー産生栄養素とも呼ばれています。第二に身体をつくる働きです。身体をつくる食べ物に多く含まれる栄養素は主にたんぱく質とミネラル(無機物)です。私たちの身体の中では常に新しいたんぱく質がつくられ、分解されて一部は尿などとして体外に排出されるサイクルを繰り返しています。そのため、材料となるたんぱく質を食事から補給する必要があるのです。
 身体をつくるミネラル(無機物)としては、例えば骨や歯をつくるもとになるカルシウムなどがそのうちの一つです。第三としては身体の調子を整える働きです。身体の調子を整える食べ物に多く含まれる栄養素はビタミン、ミネラル(無機物)です。ビタミンは、からだの中で起こる数々の代謝反応に必要な酵素としての働きを補ったり、脂肪組織や肝臓に蓄えられてからだの機能を正常に保ったりしています。ミネラル(無機物)は、臓器や身体の組織で起こるさまざまな反応をスムーズに進め、生理機能を健全に維持しています。いずれにしても身体は、代謝により毎日入れ替わっているので、まずは食事をきちんと摂る習慣をつけることが大切です。

栄養とスポーツ

 スポーツのための栄養というと、「アスリートを対象とする食事」や「プロの選手が行う食事」とイメージされるかもしれませんが、そうではありません。健康のための運動も、学校で実施される体育もその対象となります。勝つために練習を積んでいるアスリートなら、日々の練習で競技力を向上させ試合で練習の成果が発揮できるように、また生活習慣病予防や日々の健康のために運動をしている方は健康の増進に、子供であれば健全な発達・発育に欠かすことのできない食事と運動に幅広く活用できます。

栄養とスポーツ

 スポーツの現場では、スポーツ栄養学の知識をもって、それぞれの競技内容や体格、年齢、体調などに合わせた栄養面のサポートを行うことで、パフォーマンス向上やコンディションの維持などを支えます。
さらに適切な栄養管理によって、スポーツを安全に長く続けられるようにすることで、健康づくりや健康問題の解決に貢献する役割も担います。また、疲労回復や筋肉強化など競技者の目的に合わせたアドバイスを行い、トラブルや悩みの解消を行います。そして、日々のトレーニングで鍛えて積み上げてきた力を試合においてベストコンディションで充分に発揮できるようにサポートします。例えば、スポーツをするうえでより良いパフォーマンスをだすには、エネルギーが必要です。そのエネルギー源となるのが、糖質と脂質です。激しい運動になると脂質では対応出来ず、糖質だけでエネルギーを作りだします。糖質の蓄えが尽きると、たんぱく質を利用して新たにエネルギーを作ろうとします。筋肉中のたんぱく質が利用されると、筋肉量の低下につながるためたんぱく質に頼らないエネルギー作りを行えることがベストです。そのためには糖質を不足させないための食事や補給が大切ですが、食品によって糖の吸収速度が違うため、個々の状況に適した糖質の補給を行うことが重要です。具体的に述べると運動前(開始の2時間半以上前)の軽食には、おにぎりやうどん、パン(あんぱんなど)が良いとされています。また、運動前後もしくは次の試合までの短時間での補給には、果物(バナナなど)やスポーツドリンク、果汁100%ジュース、ゼリータイプの栄養補助食品などが有効的であるとされています。身体を鍛える時には、体内では、新陳代謝と言い、古いものから新しいものへ作り変える作業が行われています。筋肉や骨でも、新陳代謝が行われており、より強い身体を作るためにはそれぞれに着目すべきポイントがあります。強い筋肉をつくるにあたり、材料となるのはたんぱく質と運動による刺激です。トレーニングによってダメージを受けた筋肉の修復にたんぱく質を必要とします。たんぱく質の摂取により筋肉が回復したら、またトレーニングを行って筋肉に刺激を与えます。この積み重ねで強い筋肉がつくり上げられていくのですが、たんぱく質の摂りすぎは、肝臓や腎臓に負担がかかるため、トレーニング量に合った適切な摂取を心掛けましょう。さらには頑丈な骨をつくるための材料となるのが、カルシウム、マグネシウム、リンです。主成分であるカルシウムは吸収率が低く、汗とともに流れ出てしまうため、吸収を高めるビタミンDを一緒に摂取することが推奨されています。その上で、運動を行って骨に負荷をかけることで丈夫な骨をつくりあげ、怪我の予防にも繋がる、とても重要なポイントの一つです。
 他にもまだまだありますが、詳しくは管理栄養士が外来にて指導を行います。尚、管理栄養指導外来受診には、事前に採血検査と問診票の作成が必要ですので、ご関心・ご興味のある方は、医師もしくはスタッフにお尋ねください。

栄養と骨粗鬆症

 人間の身体において中心となっているのが骨です。その骨には、大きく分けて5つの役割があると言われています。まず、第1の重要な役割が身体を支える(支柱)役割です。脊椎や下肢の骨が骨折などにより破綻すると寝たきりとなり、生活の継続が不可能となる恐れがあります。第2としては運動の支点としての役割です。骨には継ぎ目(つまり関節)があり、それを介して筋肉が骨に付着しています。これにより、筋肉が収縮することで力が伝わり、我々は手足を動かしたり曲げたりすることが出来ているのです。第3としては、内臓器を守る役割です。内臓は様々な機能を持ち重要な役割を担っておりますが、衝撃には弱いという特性があります。これをしっかりと保護しているのが骨です。また、骨は、人間が生きていく上で不可欠である血液を作り出す製造所でもあります。骨の中にある骨髄が原料となり、赤血球、白血球や血小板などの血球が作り出されています。最後に第4としては、ミネラル(とくにカルシウム)の貯蔵庫としての役割です。通常、体内の99%のカルシウムは骨内に存在していると言われております。

栄養と骨粗鬆症

 身体の中には、数多くの骨があります。それらは成長が完了した成人でも生きた組織として、日々、新しく生まれ変わり続けています。骨は骨芽細胞が血中のカルシウムを取り込んで新しい骨を作っていきます。その一方で古くなった骨は、破骨細胞が骨を溶かして骨内にあったカルシウムを血液中に放出しています。このようにして骨は絶え間なく、補修され新しく作り変えられているのです。これを『骨のリモデリング』と言います。このバランスが崩れ、骨を溶かす働きの方が強くなると骨粗鬆症になります。このため、骨粗鬆症にならないように骨の健康を維持、強化するためには、体内(とくに血中)の濃度を一定に保つことが重要とされています。そのために日常生活で食物からカルシウムを摂取し、小腸より吸収して血液中に入り、骨に運ばれ定着させることが大切です。しかし、一般的にカルシウムは吸収や定着がされにくいことが知られており、カルシウムだけでなく、小腸からの吸収を高めるビタミンDや骨への定着を補助するビタミンKなどを含む色々な食物をバランスよく、しっかりと摂取すること、さらには適度な負荷をかけて運動して骨を鍛えることも丈夫な骨をつくるには重要です。
 また、女性ホルモンの一つであるエストロゲンも骨のリモデリングに関与して新しい骨をつくることを進め、反対に古くなった骨を破壊する作用を抑える働きがあります。しかし、女性では閉経前後からエストロゲンの分泌量が激減するのに伴い、骨量が減少していきます。このため、女性は男性よりも骨粗鬆症になる危険性が高く、若い時期よりカルシウムの摂取や運動などを意識的に行う必要があります。その中で、大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た働きをすると言われており、破骨細胞による骨からのカルシウム溶出を抑え骨粗鬆症予防に効果があるとされています。
さらには、リンや食塩の過剰摂取にも注意が必要です。リンは主に、私たちの身体の中でカルシウムと結合して骨や歯を形成している栄養素の一つですが、体内でリンが過剰になるとカルシウムの吸収が妨げられます。リンは加工食品(スナック菓子、インスタント食品、冷凍食品 など)によく含まれているため、加工食品を多く食べる現代人ほど取り過ぎる傾向にあるので注意が必要です。カルシウムは汗や尿として体外に排泄されているのですが、食塩をとり過ぎるとカルシウムの尿への排泄が増加し、体内のカルシウム不足に繋がることもあります。
 他にもまだまだありますが、詳しくは管理栄養士が外来にて指導を行います。尚、管理栄養指導外来受診は、予約枠(毎週木曜日の午前もしくは午後)をとるだけで、事前の検査も必要なく、どなたでも簡単に受診可能です。ご関心・ご興味のある方は、まずは是非一度、ご受診ください。詳しくは、医師もしくはスタッフにお尋ねください。

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 管理栄養士が親切・丁寧に指導を行います。        事前検査不要 問診票の作成


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          骨の質を改善、骨粗鬆症の予防に効果あり

 

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