再生医療

当クリニックの再生医療

整形外科領域における今、話題の"再生医療"とは??

私たちのからだは、約60兆個の細胞からできており、その始まりは、1個の受精卵です。
受精卵が細胞分裂(増殖)によって「胚」になり、さらに細胞分裂を繰り返して多種多様な細胞に成長し、皮膚や脳、心臓といった組織や臓器がつくられます。このように、細胞が様々な組織や臓器に変化することを「分化」と言います。

一方、細胞には寿命があり、多くの細胞は分化すると増殖することができなくなり、やがて死んでいきます。例えば、肌をこすって垢が出るのは、皮膚の死んだ細胞が剥がれ落ちるからですが、その下にすでに新しい皮膚があるのは、組織の中には、新しい細胞を補充する役目をもつ未分化な細胞があるからです。

完全に分化し、皮膚や血液のように組織や臓器となった細胞は「体細胞」、これからいろいろな組織や臓器になれる未分化な細胞は「幹細胞」と呼ばれています。

当院の再生医療

現在、私たちが再生医療として受けることができる、もしくは将来その可能性がある幹細胞は、大きく3種類あります。それは、もともと私たちのからだの中に存在している”体性幹細胞”と、胚(受精卵)から培養してつくられる”ES細胞”、人工的に作製される”iPS細胞”です。
この大きく3種類の幹細胞の中で、最も医療への応用が進んでいるのは”体性幹細胞”であり、整形外科の分野でも、再生医療による骨折や軟骨の治療などが進んでいます。

もともと整形外科では、人工関節や骨の移植などによって機能を取り戻す、再生・再建のための治療が行われてきました。
そうした標準的な治療に、近年、再生医療による新たな治療法が加わり、根治に向けてさらに期待が高まっています。

当クリニックで行なう治療法

今、注目されている”PRP療法”と”APS療法”とはどんな治療??

私たちの血液は、血球(赤血球・白血球・血小板)と血漿で構成されています。その中で血小板には、止血作用とともに、成長因子を放出して損傷部分を修復する働きがあります。

1PRP療法

血小板が放出する成長因子には、細胞増殖や血管の形成などに役立つものが数種類あります。それらが損傷部位に直接働きかけて細胞増殖を促進し、修復機能を高め、自然治癒力によって怪我や病気を治療します。
この血小板を高濃度に凝縮し活性化させたものが、多血小板血漿(以下、PRP: Platelet-Rich-Plasm)です。PRPには、血液中に含まれる血小板や白血球などの体細胞の様々な働きを有し、数多くの成長因子が含まれています。それに加え、細胞の成長を促進する力があり、人の本来持っている治療能力や組織修復能力・再生能力を最大限に引き出すことが示唆されています。

近年、アキレス腱の炎症、テニス肘、ゴルフ肘などの慢性疾患の治療にPRP療法が使われ始めています。
PRP療法は、こうした疾患の従来の治療法である痛み止め薬の服用や、局所への注入療法に次ぐ処置になる可能性があります。

スポーツ選手などは、筋肉や靭帯損傷などの怪我や使いすぎ(overuse)による障害から一刻も早く復帰できるかどうかが、選手生命を左右することがあります。
そこで、選手への負担が少なく、なおかつ損傷した組織の再生を促進し、早期復帰を図る治療法として注目されてきた1つに、PRP療法があります。

PRP療法

2APS療法について

変形性関節症による炎症や痛みに対して、従来の治療法である消炎鎮痛剤の投与や関節内へのヒアルロン酸、ステロイド薬の注入に代わり、患者さんご自身の血液から作製し抽出した自己蛋白質溶液(以下、APS: Autologous Protein Solution)を患部に注射します。
APSはPRPから抗炎症成分など関節の健康に関わる成分を抽出したものです。
APS療法は、PRPを更に分離した次世代PRPとも言われており、現状、対象疾患は変形性膝関節症であるため、膝関節内に注入することにより、関節内に炎症を引き起こすタンパク質(IL-1やTFN-αなどの炎症性サイトカイン)の活動を阻害することで、炎症を抑え、痛みを軽減するというメカニズムが注目されています。

APS療法について

3”PRP療法”と”APS療法”の安全性は??

PRPおよびAPS作製は医療機器として治療に使用すること(安全性)が厚生労働省より認められた医療機器(当クリニックでは、Zimmer-Biomet社製GPSⅢPRP KIT / APS KIT)を使用します。患者さんご自身の血液を用いるため、免疫反応の起きる可能性は極めて低いと考えられます。
また、採血と注射のみで終わるため、患者さんの体への負担も少なくて済みます。
PRPおよびAPS療法は、現在のところ保険診療としては認められておらず、自由診療で行われています。

また、自分の血液を使うことから、比較的安全性の高い再生医療と言えますが、2014年に施行された再生医療等の安全性確保等に関する法律(以下、再生医療法)の規制の枠組みに組み込まれ、再生医療を行うには実施医療施設は厚生労働省に届け出が義務付けられ、一定基準の安全性の確保が行われています。

治療効果や効果の持続期間には個人差がありますので、担当医と充分に相談してください。